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甲状腺と動悸の関係は?考えられる病気や受診の目安を解説

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甲状腺と動悸の関係は?考えられる病気や受診の目安を解説

「何もしていないのに心臓がドキドキする」「動悸に加えて、汗や手の震えも気になる」と、不安を感じていませんか。動悸は緊張や心臓の病気だけでなく、甲状腺ホルモンが過剰になることでも起こります。特に、安静時の頻脈に体重減少や暑がりなどが重なる場合は、バセドウ病をはじめとする甲状腺疾患も考えられます。

ただし、動悸だけで甲状腺の病気と判断することはできません。不整脈、貧血、低血糖、更年期などでも似た症状が現れるため、症状の組み合わせや検査結果をもとに原因を調べることが大切です。

この記事では、甲状腺の異常で動悸が起こる仕組み、考えられる病気、甲状腺以外の原因、医療機関で行う検査や受診の目安を解説します。安静にしていても動悸が続く方や、ほかの体調変化も気になっている方は参考にしてください。

甲状腺の異常で動悸が起こる仕組み

甲状腺は首の前側にあり、全身の代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌しています。ホルモンが必要以上に増えると、体が活発に働き続ける状態となり、心臓の動きにも影響が及びます。まずは、脈が速くなる理由と、頻脈が長く続いた場合に考えられる心臓への負担を見ていきましょう。

甲状腺ホルモンによる心拍数の増加

甲状腺ホルモンには、全身の代謝を活発にしてエネルギー消費を促す働きがあります。ホルモンが過剰になると心臓が刺激を受けやすくなり、座っているときや就寝前でも心拍数が増えることがあります。その結果、胸がドキドキする、鼓動を強く感じるといった動悸が現れます。

動悸は、心臓の拍動を強く、速く、または不規則に感じる自覚症状です。一方、脈が速い状態は頻脈と呼ばれます。頻脈があっても自覚しない方がいる反面、心拍数が大きく増えていなくても強い動悸を感じる方もいます。感じ方だけで原因を決めず、脈拍や検査結果を含めて評価することが重要です。

頻脈が続くことによる心臓への負担

甲状腺ホルモンが過剰な状態では、速い脈が続いたり、脈の間隔が不規則になったりすることがあります。代表的な不整脈の一つが心房細動です。動悸や息切れを感じる場合がある一方、自覚症状がないまま健康診断などで見つかるケースもあります。

甲状腺ホルモンが過剰な状態を治療せずに放置すると、心臓が十分に休めず、全身へ血液を送る働きに負担がかかります。特に心臓病がある方や高齢の方では、心不全などの合併症につながる可能性にも注意が必要です。脈が速い状態を体質だと思い込まず、動悸が続く場合は原因を調べましょう。

動悸を起こしやすい主な甲状腺疾患

甲状腺ホルモンが過剰になる状態は、すべて同じ仕組みで起こるわけではありません。甲状腺がホルモンを作りすぎる病気と、炎症により蓄えられたホルモンが血液中へ漏れ出す病気があります。ほかにも、結節が自律的にホルモンを作るケースがありますが、ここでは代表的なバセドウ病と甲状腺炎を解説します。

バセドウ病によるホルモン過剰

バセドウ病は、免疫の働きに異常が生じ、甲状腺を刺激する抗体が作られる自己免疫疾患です。その抗体が甲状腺を刺激し続けることで、甲状腺ホルモンの産生と分泌が必要以上に増えます。動悸の原因となる代表的な甲状腺疾患です。

女性に多い病気で、男女比はおよそ1対5から6程度とされ、20代から50代、なかでも20代から40代での発症が目立ちます。古くから「甲状腺の腫れ」「頻脈」「眼球突出」が代表的な3つの症状として知られていますが、すべての患者さんに3つそろって現れるわけではありません。診察では症状の経過を聞き取り、甲状腺ホルモンや自己抗体などの血液検査を組み合わせて判断します。

甲状腺炎による一時的なホルモン放出

無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎では、炎症によって甲状腺の組織が壊れ、内部に蓄えられていたホルモンが血液中へ漏れ出します。一時的に甲状腺ホルモンが過剰となるため、動悸や頻脈など、バセドウ病と似た症状が現れることがあります。

無痛性甲状腺炎は首の痛みを伴わないことが多く、出産後に発症するケースもあります。亜急性甲状腺炎では、首の前側の痛みや発熱を伴うことがあります。甲状腺がホルモンを作りすぎている病気ではないため、バセドウ病とは治療方法が異なります。

甲状腺疾患で動悸とともに出やすい症状

甲状腺ホルモンは心臓だけでなく、体温調節、筋肉、消化管、精神状態などにも関係しています。そのため、甲状腺が原因の動悸では、全身に複数の変化が重なることがあります。次のような症状が動悸と一緒に現れていないか、確認してみてください。

  • 安静にしていても脈が速い、鼓動を強く感じる

  • 食事量が変わらないのに体重が減ってきた

  • 以前より汗をかきやすい、周囲より暑く感じる

  • 手や指が細かく震え、字を書きにくい

  • 首の前側が腫れている、襟がきつく感じる

  • 眼が出てきた、まぶたが腫れる、物が二重に見える

  • イライラしやすい、寝つきが悪い

すべてがそろうとは限りませんが、動悸に複数の変化が重なっている場合は、甲状腺機能を調べる検査が選択肢になります。以下で主な症状を詳しく見ていきましょう。

安静時にも続く動悸や頻脈

運動や緊張の後に脈が速くなるのは自然な反応ですが、甲状腺ホルモンが過剰な場合は、座っているときや横になったときにも動悸を感じることがあります。「何もしていないのに脈が速い」「夜になると鼓動が気になる」といった変化が一例です。

受診前には、動悸が起こる時間帯、続く長さ、脈が規則的かどうかを記録しておくと診察の参考になります。家庭で脈拍を測る場合は、十分に休んでから1分間の回数を数えましょう。ただし、脈拍の数値だけで病気は判断できません。動悸を繰り返す場合や息切れを伴うときは、医療機関へ相談してください。

体重減少・発汗・暑がり

食事量や運動量を大きく変えていないのに体重が減る場合や、以前より汗をかきやすくなった場合は、甲状腺ホルモンの過剰が関係している可能性があります。代謝が高まり、エネルギー消費や熱の産生が増えるためです。

周囲の人が暑がっていない環境でも自分だけ暑く感じる、冬でも汗をかく、食欲があるのに体重が減るといった変化が、動悸とともに現れることがあります。体重減少には糖尿病や消化器疾患など別の原因もあるため、複数の症状が続く場合は検査を受けましょう。

手の震え・不安感

甲状腺ホルモンが過剰になると、手や指に細かな震えが出ることがあります。紙を持つと揺れる、文字を書きにくい、箸を使いにくいといった変化から気づく方もいます。また、落ち着かない、イライラしやすい、眠りにくいなど、気分や睡眠に関する症状が現れる場合もあります。

動悸と不安感は互いに影響しやすく、動悸を感じたことで不安が強まり、さらに鼓動を意識することも少なくありません。ストレスや不安だけが原因と決めつけず、発汗、体重変化、手の震えなどを伴う場合は、甲状腺機能を調べる血液検査も選択肢となります。

首の腫れ・眼の症状

バセドウ病では、甲状腺全体が大きくなるびまん性甲状腺腫がみられ、患者さんの多くに現れるとされています。以前より首回りが太くなった、シャツの襟がきつく感じる、家族から首の腫れを指摘されたといった変化が、受診のきっかけになることもあります。

眼が前に出て見える、まぶたが腫れる、眼が乾く、物が二重に見えるなどの眼症状も、バセドウ病に関連して現れることがあります。眼の違和感が強い場合は、甲状腺の治療と並行して眼科での評価が必要になるケースもあります。首や眼の変化がなくても、ほかの症状が続く場合は一度相談してください。

甲状腺以外で考えられる動悸の原因

動悸は甲状腺疾患に特有の症状ではありません。心臓の病気、血液や血糖の異常、発熱、ホルモンバランスの変化など、さまざまな原因で起こります。甲状腺に当てはまる症状があっても、別の病気が隠れている可能性があります。必要な検査や治療が異なるため、症状の経過や持病、服薬状況も医師へ伝えることが大切です。

心臓や脈の異常

甲状腺機能に異常がなくても、期外収縮や発作性上室性頻拍などの不整脈によって動悸が起こります。脈が飛ぶように感じる、突然速くなって急に元へ戻る、脈の間隔がばらばらに感じるなど、症状の出方は一様ではありません。

狭心症や心不全など、心臓の病気に動悸が伴う場合もあります。運動時に胸の圧迫感や息切れが出る、足のむくみが増えた、横になると息苦しいといった症状があるときは、循環器内科での評価が必要です。甲状腺疾患と心臓の病気が同時に存在することもあります。

糖尿病治療中の低血糖

糖尿病の治療を受けている方が動悸を感じた場合、低血糖が原因であることがあります。低血糖では、動悸に加えて冷や汗、手の震え、強い空腹感、脱力感などが現れます。動悸・発汗・手の震えという組み合わせは甲状腺ホルモンが過剰なときとよく似ているため、症状だけでは見分けがつきません。

ただし、必要な対応は大きく異なります。低血糖が疑われるときは、ブドウ糖や糖分を含む飲料をすぐに摂取する必要があります。インスリンやスルホニル尿素薬などを使用している方、食事を抜いた後や運動量が増えた後に症状が出た方は、低血糖を念頭に置いてください。意識がもうろうとする場合は、早急に医療機関を受診しましょう。

なお、バセドウ病や橋本病は自己免疫の異常によって起こるため、同じく自己免疫が関わる1型糖尿病と合併することがあります。また、甲状腺ホルモンが過剰な状態は血糖のコントロールに影響する場合もあります。糖尿病で通院中に動悸や体重減少が現れた際は、血糖の問題か甲状腺の問題かを検査で確かめることが大切です。

貧血・発熱・そのほかの要因

貧血になると、体へ酸素を届けるために心臓が多くの血液を送り出そうとして、動悸や息切れが現れることがあります。顔色が悪い、立ちくらみがある、疲れやすいなどの症状を伴う場合は、血液検査で貧血の有無を調べます。発熱時にも、体温の上昇に伴って脈が速くなります。

強い緊張や不安、睡眠不足が続くと、自律神経の働きが変化して動悸を感じることもあります。更年期には女性ホルモンの変動により、動悸、発汗、ほてり、不眠などが現れる場合があり、甲状腺機能亢進症と症状が似ているため見分けるのは困難です。コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェイン、飲酒、喫煙、一部の薬がきっかけになることもあります。症状が出た時間と飲食物、服用した薬を記録しておくと、診察の手がかりになります。

動悸の原因を調べる検査と治療

動悸の診察では、症状が起きる場面や持続時間、脈の規則性、ほかの症状、持病、服用中の薬などを確認します。そのうえで、甲状腺の血液検査や心電図、超音波検査を組み合わせて原因を探ります。甲状腺の評価に必要なのは主に採血と超音波検査で、体への負担は大きくありません。動悸だけを抑えるのではなく、背景にある病気を見極めることが大切です。

甲状腺機能を調べる血液検査

甲状腺機能を調べる際は、主にTSH、FT3、FT4を測定します。明らかな甲状腺ホルモン過剰状態では、一般にFT3またはFT4が高く、甲状腺を刺激するTSHは低くなります。FT3・FT4が基準内でTSHのみ低い場合もあり、潜在性甲状腺機能亢進症として経過をみることがあります。

バセドウ病が疑われる場合は、TRAbなどの自己抗体も確認します。バセドウ病では自己抗体が高い確率で陽性となるため、診断における重要な手がかりです。基準範囲は検査機関や測定方法によって異なり、結果票の数値だけで自己診断はできません。症状の経過やほかの検査所見を含め、医師が総合的に判断します。

心拍や不整脈を調べる心電図

心電図では、検査時点の心拍数や脈の規則性を記録し、不整脈がないかを調べます。胸や手足に電極を付けて行うため、体への負担が比較的少なく、短時間で受けられる検査です。動悸が出ているときに記録できると、原因を特定する手がかりになります。

発作が短く、診察時には症状が治まっている場合、通常の心電図だけでは異常が見つからないことがあります。その際は、24時間以上記録するホルター心電図などを検討します。検査中に動悸を感じた時刻や行動を記録すると、心電図の変化と症状を照らし合わせやすくなります。

甲状腺の状態を調べる超音波検査

甲状腺超音波検査では、首の前側に器具を当て、甲状腺の大きさや形、内部の状態、血流を画像で観察します。放射線被ばくを伴わず、通常は強い痛みもありません。首の腫れやしこりがある場合のほか、血液検査で甲状腺機能の異常が見つかった際にも追加される検査です。

バセドウ病では、甲状腺全体の腫れや内部の血流増加がみられることがあります。一方、甲状腺炎では、病気の種類や時期によって内部の見え方や血流が異なります。超音波検査だけで診断を確定するのではなく、血液検査、診察所見、症状の経過と組み合わせて判断します。

原因疾患に応じた治療

バセドウ病の治療には、抗甲状腺薬による薬物療法、放射性ヨウ素内用療法、手術があります。年齢、症状、甲状腺の大きさ、妊娠の希望、眼症の有無などを踏まえて治療法を選びます。動悸が強い場合は、状態に応じて心拍数を抑える薬を一時的に使用することもあります。

無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎などの破壊性甲状腺炎では、甲状腺ホルモンの産生が増えているわけではないため、抗甲状腺薬は通常使用しません。炎症や痛みの程度に応じた治療や、動悸を和らげる治療を行いながら経過をみます。処方薬を自己判断で中止したり、量を変えたりしないでください。

動悸があるときの受診先と受診目安

動悸が一時的に治まっても、繰り返す場合や、体重変化、発汗、手の震えなどを伴う場合は、原因を確認しておくことが大切です。症状の組み合わせによって適した診療科は異なりますが、迷うときはまず内科へ相談できます。

症状の組み合わせ

相談先の目安

動悸に加え、暑がり、発汗、体重減少、手の震え、首の腫れなど

内科・内分泌内科

脈が不規則、突然始まって突然止まる、運動時の息切れや胸の違和感

循環器内科

強い胸痛、呼吸困難、失神、意識が遠のく、高熱や意識障害

救急医療

(ためらわず救急要請を)

内科・内分泌内科が適するケース

動悸に加えて、暑がり、汗の増加、体重減少、手の震え、首の腫れなどがある場合は、内科や内分泌内科への受診が適しています。健康診断やほかの診療科でTSH、FT3、FT4の異常を指摘された場合も、甲状腺疾患を扱う医療機関へ相談しましょう。

受診時には、動悸が始まった時期、1回の持続時間、脈の速さや規則性、体重の変化、服用中の薬を伝えると診察時の参考になります。甲状腺疾患の家族歴や出産後であることも、診断の手がかりになる場合があります。症状が軽くても繰り返す、または長く続く場合は、一度検査を受けておくと安心です。

循環器内科が適するケース

脈が不規則に感じる、動悸が突然始まって突然止まる、運動時に息切れや胸部の違和感が出る場合は、循環器内科への相談が適しています。心臓病や不整脈の治療歴がある方、健康診断で心電図異常を指摘された方も、早めに受診してください。

甲状腺機能の異常が不整脈を引き起こしている場合は、内分泌内科と循環器内科が連携して治療することがあります。どちらを先に受診すべきか迷うときは、通いやすい内科へ相談し、診察や検査の結果に応じて専門の診療科を紹介してもらう方法もあります。

救急受診が必要な症状

動悸とともに、強い胸痛や胸の圧迫感、呼吸困難、意識が遠のく感覚、失神、冷や汗などがある場合は、心筋梗塞や重い不整脈など緊急性の高い病気を否定できません。自分で運転せず、救急車の要請を検討してください。

また、甲状腺疾患の治療中または疑いがある方に、高熱、著しい頻脈、意識障害、嘔吐や下痢などが重なった場合は、まれですが甲状腺クリーゼの可能性があります。甲状腺クリーゼは全身状態が急速に悪化し得る危険な状態です。通常の診療時間まで待たず、速やかに救急医療を受けましょう。

まとめ | 動悸が続く場合は甲状腺の異常にも注意

動悸は、ストレスや心臓の病気だけでなく、甲状腺ホルモンが過剰になることでも起こります。安静時にも脈が速い状態が続き、体重減少、発汗、暑がり、手の震え、首の腫れなどを伴う場合は、バセドウ病や甲状腺炎なども考えられます。ただし、貧血、低血糖、更年期、不整脈などでも似た症状が現れるため、自覚症状だけで原因を判断することはできません。

繰り返す動悸があるときは、血液検査や心電図、超音波検査などで原因を調べることが大切です。甲状腺の検査は採血と超音波が中心で、体への負担は大きくありません。強い胸痛、呼吸困難、失神、高熱や意識障害を伴う場合は、早急に救急医療を受けてください。

柳田医院では、内科および甲状腺疾患の診療を行っています。糖尿病をはじめとする生活習慣病の診療も行っておりますので、糖尿病で通院中の方の動悸や、健康診断で甲状腺の数値を指摘された方のご相談にも対応できます。動悸とともに気になる症状がある方は、どうぞお早めにご相談ください。

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